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レウクロウ×キシャルまとめ2
田村君。会話文オンリー。
レウクロウ「俺は思うんだ。落ちとか、意味とか、そういう面倒なもんは俺達の間には不要なんじゃねぇかって……」
キシャル「私達がそれで良くても、世間の大多数の方は多分ないよりあったほうが良いと思っていますよ」
レウクロウ「俺は思うんだ。落ちとか、意味とか、そういう面倒なもんは俺達の間には不要なんじゃねぇかって……」
キシャル「私達がそれで良くても、世間の大多数の方は多分ないよりあったほうが良いと思っていますよ」
「クリスマスにはな、サンタがな、父様でな、良い子のところにやってきてくれるんだよ。だから俺は、靴下に願い事を書いた紙を入れてな、夜中なのにわざわざきてくれた父様を労わりつつ、良い子のフリしてすやすや眠るって魂胆だ」
「なんで靴下なんですかぁ?」
「知らねぇよフェチなんじゃねぇの? 俺、今日奮発していつもより高めの靴下買っちまったよ。やべぇよ。たぎる気持ちをおさえきれねぇよ」
「レウクロウさんが無駄遣いするなんて珍しいですね」
「あ? 無駄とか言うな。マジで、サンタってお父さんなんだって。街の子供が言ってたの、俺聞いちまったもん。楽しみだな」
「へぇ。……で、紙にはなんて書いたんですか?」
「お前には教えねぇ。絶対見ちゃ駄目だからな。俺と父様だけの秘密なんだからな」
「……そうですか」(家具だろうなぁどうせ)
「その、『どうせ家具関連の事に決まっている、このワンパターン野郎め他に欲しいものはないのか。あと、いつまでそんなもの信じてるんだいい加減大人になれよ、もう十九歳だろお前』みたいな顔やめろ!」
「嫌ですねぇ。そこまでは思ってませんよ」
◆
(……)
(やってないわよ家具屋なんて夜に)
(二、三日の遅刻くらい大目にみてくれるものなんですかね? 全国各地にいるサンタクロース様達とやらは、いったいどうやってこの状況を切り抜けているんですかねぇ。巧みな話術で聞き出しちゃうのかしら時前に)
(とりあえず、確認しなきゃだわ。どの欲しいかだけ。家具が)
『よるおそいのにおつかれさま。きてくれてうれしい。だいすきです』
(……)
◆
「昨日、初めてレウクロウさんに対して『アホ可愛いなこいつ』と思いました」
「ああ、その気持ち分かるぜ。主に耳とかだろ? このもふもふ感、たまんねぇよな」
――――
「笑わないで聞いてくれ」
「はぁ。保障は出来ませんが……どうぞ」
「俺、お前と待ち合わせをしてみてぇんだ」
「……仕事でたまにしてませんかね?」
「そうじゃねぇんだよ。俺が言いたいのは、つまり、あれなんだよ! あれみたいのがしたいんだよ! だから、分かるだろ? 俺があれに憧れる気持ち、お前なら分かってくれるだろ?」
「すみません。その『あれ』の部分を、もう少し詳しくお願いします」
「バッカ、恥ずかしい事きいてんじゃねぇよ!」
「ほう。『あれ』とは、恥ずかしいものなんですか」
「だから、つまりだな……。で、デートみたいな待ち合わせがしてぇんだよ! 『ごめーん、待ったー?』『ううん、今きたとこ!』みたいなやり取りをしてみてぇんだよ!」
「あっはっはっはっはっ!」
「なんで笑った!?」
「いや、さっき『笑わないで』って言ってたので、むしろフリかと思いまして……」
「フリだったとしても遅ぇよ! 第一フリじゃねぇし! 傷ついた! 俺はいたく傷ついた! どうすんだ、お前の笑顔が悲劇を産んだという皮肉な話の出来上がりだぞ!?」
「大丈夫です。私、どちらかと言えばエスなんで」
「誰もお前の心配はしてねぇよ。それより俺の心配をしてくれ。傷心ワンコを慰めてくれ」
「エスには無理難題すぎます」
「心配すんな! 俺はお前と一緒にいるだけで、元気になれっからな!」
「傷つけたのは私なのに、私のおかげで元気になれるんですか。凄いですねぇ」
「ああ、お前は凄ぇよ」
「いや、レウクロウさんが凄いんですけど。で、何ですって? 待ち合わせ? 一緒に住んでるのに、なんでそんな面倒な事をする必要が?」
「ロマンだからだよ」
「……はぁ、そうですか」
「その『さっぱり意味が分からない。何を言っているんだこの犬は。本当に人間としての知識はあるのか。犬の部分が強すぎるんじゃないか』みたいな顔はやめろ!」
「そんな顔してませんよ」
「お前だって、一度くらい『ごめーん、待ったー?』って言ってみてぇ、とかこっそり思ってたんだろ? 隠さなくても良いんだぜ?」
「隠してませんよ。思ってすらいませんし。まぁ、別にレウクロウさんがそれをやりたいなら何でも良いですけど……」
「マジか。お前天使か何かか。あ、お前天使だ!」
「いやいや」
「じゃあ、今日の午後二時に広場の前で待ち合わせな! 待ってやらない事もないんだからねっ!」
「裏声気持ち悪いんでやめてください」
◆
「……」
◆
「……」
◆
「……」
◆
「……」
「おお、暗がりでも分かる程の落ち込みっぷりですねぇ。……ごめーん、まったー?」
「待ったわ!!!」
「あれ? おかしいな。台本とセリフが違いません?」
「違いません?じゃねーだろうが! 何時間待たせる気なんだテメェは! 五時間だ! 五時間ほどワンワンはここで項垂れていたんだぞ! そりゃ、俺の周りは缶コーヒーの空き缶ばかりになるっつーの! 空き缶が俺を中心に輪を描くっつーの!」
「後でちゃんと捨ててくださいね」
「ああ、もちろんだ。俺はこう見えてエコ大好きだからな。エコ大好きで、下手したらエコになるくらいだからな。エコ的マスコットキャラ、エコ犬とかいけるかもしれないからな。それより、お前は何してたんだよ。俺が初めてのコーヒーの味に感動し、そうしてその味に飽きるまでの長い長い間、お前はいったいどこで何をしてたんだよ」
「飲んでました。ただしコーヒーではなく、お酒を」
「昼間からか! 最悪じゃねーか!」
「こっちにも付き合いってもんがあるんですよ」
「付き合いっていうか、黒頭巾との付き合いだろ? たった二人だけの世界だろ? それなら俺に何か連絡の一つくらい寄越してくれても神様はお前を怒らないだろ? 神様はそんな懐の狭いやつじゃないだろ!?」
「レウクロウさんだって、こんな事で怒るほど懐の狭い人じゃないでしょう?」
「悪ぃ、俺そんなに出来た奴じゃねぇんだ。時々、自分の懐の狭さに泣いちまうくらいなんだ……」
「繊細ですねぇ」
「ああ。ちょっと触れただけなのに、たちまち割れて損害賠償なくらいの硝子細工ハートなんだぜ。何なら、触って確かめてみるか?」
「割れたら片付けが面倒くさそうなので、いいです」
「おい、待て! お前、今日はやけに姿がエレガントじゃないか!? 普段とのギャップ萌えを狙い、俺を惚れ直させようって魂胆か!?」
「どういったリアクションをするのか楽しみにしていたんですが、まさかのエレガントときましたか。そうですね、今日はちょっと普段は着ないような少女ちっくなフリフリワンピースを着ていますが何か?」
「似合わん!」
「ですよね!」
「だが、その心意気だけは合格点だ! 成長したな、キシャル!」
「あんたは私の師匠か何かなんですか?」
「何言ってんだよ、どこをどう見てもお前の彼氏だろうが。バッチリ顔にそう書いてあんだろうが。いや、師匠兼彼氏というのも、ありっちゃあり……なのか? けれど俺は、初めて出来た恋人にウハウハで指導に集中出来ない。雑念を振り払えない。俺は、師匠失格なんだ」
「そうですか。何よりです」
「まさかお前は、今日の待ち合わせにどの服を着ていくか迷って……だから、こんなにくるのが遅れちまったのか? そうなのか? 乙女なのか?」
「いや、飲んでただけです。本当に」
「この可愛いやつめ! うりうり!」
「人の話聞いてくれませんかね?」
「もうこれは合格点なんてレベルじゃねぇな。光沢点、だな」
「眩しそうですねぇ。立ち話も良いですけど、そろそろどこか行きません?」
「そうだな。帰るか」
「帰るんですか」
「ああ、今日は別にデートじゃねぇし。デートみたいな待ち合わせがしたかっただけだし。目的はもう達成されたわけだ。あとは家に帰って、のんびり風呂に入ったり飯を食ったりするのみだ。今日はありがとな。俺の夢を叶えてくれて」
「そうですか」
「……」
「……」
「……やっぱりどっかで飯食ってくか! な! 飯食ってこうぜ!」
「はぁ、もう好きにしてください」
「悪ぃな、俺はもうとっくに好きにしてる。そしてそんな俺に付き合ってくれるお前の事が、べ、別に大好きとか思ってないんだからねっ!」
「好きにして良いとは言いましたが、裏声は気持ち悪いんでやめてください」
「あと、似合ってないとは言ったけど可愛くないとは一言も言ってないんだからねっ!」
「はいはい」
――――
「俺とお前の身長差について今日は語ろう。俺、気付いたんだけど、俺とお前の身長差って意外とあるんだよ」
「意外どころじゃありませんよ。レウクロウさんを見ると、『何こいつでかっ』って私はたまにビックリします」
「マジかよ。俺は別に、お前を見ても小せぇとか思わねぇぜ」
「レウクロウさんから見るとたいていの人は小さいですからねぇ」
「そうか? アウロラとかでけーんじゃねぇの?」
「なんで胸の話に変わっちゃったんですか。今日は身長の話をするんじゃなかったんですか」
「確かに、お前と話してっと時々首が痛ぇな」
「そうですかぁ? 私のほうは全然大丈夫ですけど」
「だってお前人の顔見て話そうとしねぇだろうが。今だってどこ見てんだよ。明後日のほう向いてんじゃねぇよ」
「レウクロウさんも、見たくなかったらわざわざ見なくても良いんですよ」
「ああ? 俺は見てぇから見てんだよ。お前は俺の顔見たくねぇのかよ?」
「うーん……」
「返答に困ってんじゃねーよ」
「まぁ、小さいよりは大きいほうが良いですよねぇ」
「話逸らしてんじゃねーよ。だいたい何だその言い方は。テメ、小さい奴なめてんのか? 童人なめてんのか? 所長に喧嘩売りてぇなら、本人に直接言えゃ良いだろうが」
「童人は驕っている人が比較的多いですよね」
「所長! おい、所長!」
「あ、いいですいいです。呼ばないでください」
――――
「レウクロウさん、一日中そこでサンタクロースを待つおつもりなんですかぁ?」
「……」
「良い子のところにしかこないらしいですよぉ。レウクロウさんはもう子って歳じゃないですし、難しいんじゃないですかね?」
「……」
「サンタクロースの正体ってお父さんらしいですね。ちょっと意味が分かりませんが」
「……」
「レウクロウさんのお父さんはこないですって。死体が訪ねてきたらホラーじゃないですか」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……なんで隣に座るんだよ」
「いや、きもしないサンタクロースを待つレウクロウさんがあまりにも哀れでお馬鹿さんなんで……。でも今日ってどこもかしこもお祭り騒ぎだから、その空気に当てられて私もちょっとテンションがおかしいんですよね。馬鹿に付き合って馬鹿の気分を味わってみるのもまぁ悪くないかな、みたいな気分なんですよ。それに、私のほうがレウクロウさんよりずっと良い人だし見た目も子供っぽいんで、サンタクロースがくる確率も多分上がりますよ」
「いや、お前元々馬鹿だろうが」
「ですよね!」
「本当、大馬鹿だ。……お前も、俺も」
――――
「おま、蕎麦食いてぇから年が変わる前に起こせって言っただろうが!」
「どんな理由ですか。レウクロウさんの分の蕎麦なら余ってますけど」
「バッカ、そういう問題じゃねーんだよ。くそ、年越し蕎麦を食い損ねたって事は、つまり俺は年を越せてねぇって事なんだぞ! 俺だけ昨年に置いてけぼりじゃねぇか! 気分はもはやタイムトラベラーだわ!」
「レウクロウさんは、年越し蕎麦というものを少し誤解している気がします。良いじゃないですか、まだ十分くらいしかたってませんしセーフですよセーフ。第一こんなもん、地域によって風習も多少は違いますからねぇ」
「でも、俺はお前と一緒に年越し蕎麦を食いたかったんだ!」
「はあ。……私、愛されてますね!」
「うるせぇ。俺に愛されてる自覚があるなら、お前なんで起こさなかったんだよ。俺からお前への愛がちゃんと伝わってなかったとしか思えねぇよ。伝えきれなかった分の俺の愛は、いったいどこに行っちまったんだよ……。俺が時をさ迷う迷子だとしたら、あの愛達はどこをさ迷ってる迷子なんだよ……」
「すみません。起こそうとは思ったんですが、あまりにも気持ちよさそうに寝ていたもので」
「……」
「それに、レウクロウさんの寝顔を見ていると私は何だか幸せな気分になれるので、このままずっと眺めていたいなという欲につい負けてしまったんです」
「やだ! 俺、愛されてる!」
アウロラ「新年早々夢を壊すようで悪いですけれども、ただ面倒臭がられてただけですわよ」
「なんで靴下なんですかぁ?」
「知らねぇよフェチなんじゃねぇの? 俺、今日奮発していつもより高めの靴下買っちまったよ。やべぇよ。たぎる気持ちをおさえきれねぇよ」
「レウクロウさんが無駄遣いするなんて珍しいですね」
「あ? 無駄とか言うな。マジで、サンタってお父さんなんだって。街の子供が言ってたの、俺聞いちまったもん。楽しみだな」
「へぇ。……で、紙にはなんて書いたんですか?」
「お前には教えねぇ。絶対見ちゃ駄目だからな。俺と父様だけの秘密なんだからな」
「……そうですか」(家具だろうなぁどうせ)
「その、『どうせ家具関連の事に決まっている、このワンパターン野郎め他に欲しいものはないのか。あと、いつまでそんなもの信じてるんだいい加減大人になれよ、もう十九歳だろお前』みたいな顔やめろ!」
「嫌ですねぇ。そこまでは思ってませんよ」
◆
(……)
(やってないわよ家具屋なんて夜に)
(二、三日の遅刻くらい大目にみてくれるものなんですかね? 全国各地にいるサンタクロース様達とやらは、いったいどうやってこの状況を切り抜けているんですかねぇ。巧みな話術で聞き出しちゃうのかしら時前に)
(とりあえず、確認しなきゃだわ。どの欲しいかだけ。家具が)
『よるおそいのにおつかれさま。きてくれてうれしい。だいすきです』
(……)
◆
「昨日、初めてレウクロウさんに対して『アホ可愛いなこいつ』と思いました」
「ああ、その気持ち分かるぜ。主に耳とかだろ? このもふもふ感、たまんねぇよな」
――――
「笑わないで聞いてくれ」
「はぁ。保障は出来ませんが……どうぞ」
「俺、お前と待ち合わせをしてみてぇんだ」
「……仕事でたまにしてませんかね?」
「そうじゃねぇんだよ。俺が言いたいのは、つまり、あれなんだよ! あれみたいのがしたいんだよ! だから、分かるだろ? 俺があれに憧れる気持ち、お前なら分かってくれるだろ?」
「すみません。その『あれ』の部分を、もう少し詳しくお願いします」
「バッカ、恥ずかしい事きいてんじゃねぇよ!」
「ほう。『あれ』とは、恥ずかしいものなんですか」
「だから、つまりだな……。で、デートみたいな待ち合わせがしてぇんだよ! 『ごめーん、待ったー?』『ううん、今きたとこ!』みたいなやり取りをしてみてぇんだよ!」
「あっはっはっはっはっ!」
「なんで笑った!?」
「いや、さっき『笑わないで』って言ってたので、むしろフリかと思いまして……」
「フリだったとしても遅ぇよ! 第一フリじゃねぇし! 傷ついた! 俺はいたく傷ついた! どうすんだ、お前の笑顔が悲劇を産んだという皮肉な話の出来上がりだぞ!?」
「大丈夫です。私、どちらかと言えばエスなんで」
「誰もお前の心配はしてねぇよ。それより俺の心配をしてくれ。傷心ワンコを慰めてくれ」
「エスには無理難題すぎます」
「心配すんな! 俺はお前と一緒にいるだけで、元気になれっからな!」
「傷つけたのは私なのに、私のおかげで元気になれるんですか。凄いですねぇ」
「ああ、お前は凄ぇよ」
「いや、レウクロウさんが凄いんですけど。で、何ですって? 待ち合わせ? 一緒に住んでるのに、なんでそんな面倒な事をする必要が?」
「ロマンだからだよ」
「……はぁ、そうですか」
「その『さっぱり意味が分からない。何を言っているんだこの犬は。本当に人間としての知識はあるのか。犬の部分が強すぎるんじゃないか』みたいな顔はやめろ!」
「そんな顔してませんよ」
「お前だって、一度くらい『ごめーん、待ったー?』って言ってみてぇ、とかこっそり思ってたんだろ? 隠さなくても良いんだぜ?」
「隠してませんよ。思ってすらいませんし。まぁ、別にレウクロウさんがそれをやりたいなら何でも良いですけど……」
「マジか。お前天使か何かか。あ、お前天使だ!」
「いやいや」
「じゃあ、今日の午後二時に広場の前で待ち合わせな! 待ってやらない事もないんだからねっ!」
「裏声気持ち悪いんでやめてください」
◆
「……」
◆
「……」
◆
「……」
◆
「……」
「おお、暗がりでも分かる程の落ち込みっぷりですねぇ。……ごめーん、まったー?」
「待ったわ!!!」
「あれ? おかしいな。台本とセリフが違いません?」
「違いません?じゃねーだろうが! 何時間待たせる気なんだテメェは! 五時間だ! 五時間ほどワンワンはここで項垂れていたんだぞ! そりゃ、俺の周りは缶コーヒーの空き缶ばかりになるっつーの! 空き缶が俺を中心に輪を描くっつーの!」
「後でちゃんと捨ててくださいね」
「ああ、もちろんだ。俺はこう見えてエコ大好きだからな。エコ大好きで、下手したらエコになるくらいだからな。エコ的マスコットキャラ、エコ犬とかいけるかもしれないからな。それより、お前は何してたんだよ。俺が初めてのコーヒーの味に感動し、そうしてその味に飽きるまでの長い長い間、お前はいったいどこで何をしてたんだよ」
「飲んでました。ただしコーヒーではなく、お酒を」
「昼間からか! 最悪じゃねーか!」
「こっちにも付き合いってもんがあるんですよ」
「付き合いっていうか、黒頭巾との付き合いだろ? たった二人だけの世界だろ? それなら俺に何か連絡の一つくらい寄越してくれても神様はお前を怒らないだろ? 神様はそんな懐の狭いやつじゃないだろ!?」
「レウクロウさんだって、こんな事で怒るほど懐の狭い人じゃないでしょう?」
「悪ぃ、俺そんなに出来た奴じゃねぇんだ。時々、自分の懐の狭さに泣いちまうくらいなんだ……」
「繊細ですねぇ」
「ああ。ちょっと触れただけなのに、たちまち割れて損害賠償なくらいの硝子細工ハートなんだぜ。何なら、触って確かめてみるか?」
「割れたら片付けが面倒くさそうなので、いいです」
「おい、待て! お前、今日はやけに姿がエレガントじゃないか!? 普段とのギャップ萌えを狙い、俺を惚れ直させようって魂胆か!?」
「どういったリアクションをするのか楽しみにしていたんですが、まさかのエレガントときましたか。そうですね、今日はちょっと普段は着ないような少女ちっくなフリフリワンピースを着ていますが何か?」
「似合わん!」
「ですよね!」
「だが、その心意気だけは合格点だ! 成長したな、キシャル!」
「あんたは私の師匠か何かなんですか?」
「何言ってんだよ、どこをどう見てもお前の彼氏だろうが。バッチリ顔にそう書いてあんだろうが。いや、師匠兼彼氏というのも、ありっちゃあり……なのか? けれど俺は、初めて出来た恋人にウハウハで指導に集中出来ない。雑念を振り払えない。俺は、師匠失格なんだ」
「そうですか。何よりです」
「まさかお前は、今日の待ち合わせにどの服を着ていくか迷って……だから、こんなにくるのが遅れちまったのか? そうなのか? 乙女なのか?」
「いや、飲んでただけです。本当に」
「この可愛いやつめ! うりうり!」
「人の話聞いてくれませんかね?」
「もうこれは合格点なんてレベルじゃねぇな。光沢点、だな」
「眩しそうですねぇ。立ち話も良いですけど、そろそろどこか行きません?」
「そうだな。帰るか」
「帰るんですか」
「ああ、今日は別にデートじゃねぇし。デートみたいな待ち合わせがしたかっただけだし。目的はもう達成されたわけだ。あとは家に帰って、のんびり風呂に入ったり飯を食ったりするのみだ。今日はありがとな。俺の夢を叶えてくれて」
「そうですか」
「……」
「……」
「……やっぱりどっかで飯食ってくか! な! 飯食ってこうぜ!」
「はぁ、もう好きにしてください」
「悪ぃな、俺はもうとっくに好きにしてる。そしてそんな俺に付き合ってくれるお前の事が、べ、別に大好きとか思ってないんだからねっ!」
「好きにして良いとは言いましたが、裏声は気持ち悪いんでやめてください」
「あと、似合ってないとは言ったけど可愛くないとは一言も言ってないんだからねっ!」
「はいはい」
――――
「俺とお前の身長差について今日は語ろう。俺、気付いたんだけど、俺とお前の身長差って意外とあるんだよ」
「意外どころじゃありませんよ。レウクロウさんを見ると、『何こいつでかっ』って私はたまにビックリします」
「マジかよ。俺は別に、お前を見ても小せぇとか思わねぇぜ」
「レウクロウさんから見るとたいていの人は小さいですからねぇ」
「そうか? アウロラとかでけーんじゃねぇの?」
「なんで胸の話に変わっちゃったんですか。今日は身長の話をするんじゃなかったんですか」
「確かに、お前と話してっと時々首が痛ぇな」
「そうですかぁ? 私のほうは全然大丈夫ですけど」
「だってお前人の顔見て話そうとしねぇだろうが。今だってどこ見てんだよ。明後日のほう向いてんじゃねぇよ」
「レウクロウさんも、見たくなかったらわざわざ見なくても良いんですよ」
「ああ? 俺は見てぇから見てんだよ。お前は俺の顔見たくねぇのかよ?」
「うーん……」
「返答に困ってんじゃねーよ」
「まぁ、小さいよりは大きいほうが良いですよねぇ」
「話逸らしてんじゃねーよ。だいたい何だその言い方は。テメ、小さい奴なめてんのか? 童人なめてんのか? 所長に喧嘩売りてぇなら、本人に直接言えゃ良いだろうが」
「童人は驕っている人が比較的多いですよね」
「所長! おい、所長!」
「あ、いいですいいです。呼ばないでください」
――――
「レウクロウさん、一日中そこでサンタクロースを待つおつもりなんですかぁ?」
「……」
「良い子のところにしかこないらしいですよぉ。レウクロウさんはもう子って歳じゃないですし、難しいんじゃないですかね?」
「……」
「サンタクロースの正体ってお父さんらしいですね。ちょっと意味が分かりませんが」
「……」
「レウクロウさんのお父さんはこないですって。死体が訪ねてきたらホラーじゃないですか」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……なんで隣に座るんだよ」
「いや、きもしないサンタクロースを待つレウクロウさんがあまりにも哀れでお馬鹿さんなんで……。でも今日ってどこもかしこもお祭り騒ぎだから、その空気に当てられて私もちょっとテンションがおかしいんですよね。馬鹿に付き合って馬鹿の気分を味わってみるのもまぁ悪くないかな、みたいな気分なんですよ。それに、私のほうがレウクロウさんよりずっと良い人だし見た目も子供っぽいんで、サンタクロースがくる確率も多分上がりますよ」
「いや、お前元々馬鹿だろうが」
「ですよね!」
「本当、大馬鹿だ。……お前も、俺も」
――――
「おま、蕎麦食いてぇから年が変わる前に起こせって言っただろうが!」
「どんな理由ですか。レウクロウさんの分の蕎麦なら余ってますけど」
「バッカ、そういう問題じゃねーんだよ。くそ、年越し蕎麦を食い損ねたって事は、つまり俺は年を越せてねぇって事なんだぞ! 俺だけ昨年に置いてけぼりじゃねぇか! 気分はもはやタイムトラベラーだわ!」
「レウクロウさんは、年越し蕎麦というものを少し誤解している気がします。良いじゃないですか、まだ十分くらいしかたってませんしセーフですよセーフ。第一こんなもん、地域によって風習も多少は違いますからねぇ」
「でも、俺はお前と一緒に年越し蕎麦を食いたかったんだ!」
「はあ。……私、愛されてますね!」
「うるせぇ。俺に愛されてる自覚があるなら、お前なんで起こさなかったんだよ。俺からお前への愛がちゃんと伝わってなかったとしか思えねぇよ。伝えきれなかった分の俺の愛は、いったいどこに行っちまったんだよ……。俺が時をさ迷う迷子だとしたら、あの愛達はどこをさ迷ってる迷子なんだよ……」
「すみません。起こそうとは思ったんですが、あまりにも気持ちよさそうに寝ていたもので」
「……」
「それに、レウクロウさんの寝顔を見ていると私は何だか幸せな気分になれるので、このままずっと眺めていたいなという欲につい負けてしまったんです」
「やだ! 俺、愛されてる!」
アウロラ「新年早々夢を壊すようで悪いですけれども、ただ面倒臭がられてただけですわよ」
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