オリジナル中心。お題攻略もしてます。
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世界を救う唯一の方法。
オリジナル。世界はそれなりにピンチらしい。
「大事な話があるの」、と付き合って三ヶ月になる女の子が言ってきた。
寝転がりながらゲームをやりつつ、俺はそれに「はいはい」と返事を返す。
彼女は話し始める。
「実は私は未来からやってきたアンドロイドなのです」
「マジで? 超展開だね。伏線も何もなかったじゃないか」
「現実に伏線なんてありません。世の中は理不尽な急展開の連続なのです」
何故か自慢げに人差し指を真上にたてそう言った彼女が、「それはともかく」と楽しそうな声音で呟いた。
彼女の作る嬉しそうな笑みはどこからどう見ても人間のそれであり、とてもロボットが作れるような表情じゃないよなぁ、と横目でこっそり相手の顔を見ながら俺は思う。
「今、未来の世界が超ピンチなの」
「超って死語じゃない?」
「真面目に聞きなさい。その顔の横についているものは飾りですか? るっくおんみー!」
「英語間違えまくってるぞー?」
ゲシリと彼女は寝ている俺の腹に蹴りを入れた。
暴力に訴えないで、せめて口で注意してくれ。その小さな口は何のためにあるんだ?
「とにかく、今未来の世界がピンチなの」
「超はどこ行ったんだ?」
「死語だってあんたが言うからやめました! とにかく、ピンチなの。そして、その未来の世界を救えるのはあんただけなのよ」
「世界の命運握るくらいなら財布の紐を握る男ですよ、俺は」
「その『俺今上手い事言った!』っていう得意げな顔がムカつくし全然上手くないし! もう余計な事は言わないで真面目に聞いてよ!」
言いたい事はいっぱいあったが、第二撃が飛んできそうなのでやめておく事にする。
懸命な判断だ。自分で自分を褒めてから、俺は彼女に合わせ真面目な顔を作ると(心の中ではちょっと笑ってる)問いかけてみる事にした。
「で、俺はどうやって世界を救うの? 魔王倒したりするの?」
「ちゅーです」
「はい?」
「私とちゅーをするのです。そうしたら、世界は救われます」
「……。キス一つで救われるような安っぽい世界なら滅んじまえ」
一言言ってから、俺はゲーム画面に視線を戻す。
しかし、「うぅ……」という彼女の声が耳に入ってきたせいで、それは叶わなかった。
相手のほうを見てみる。泣きそうに顔をゆがめている彼女と目が合った。
「アンドロイドのくせに泣くの?」
「ばかばかばかはげばかはげはげはげ、はげ! もう、あんたなんて知らない!」
ゲシゲシゲシと彼女は三回ほど俺の腹に蹴りを入れて、逃げるように部屋から出て行ってしまった。
その後姿を見ながら、はげはあんまりじゃないか……?、と俺は思ったのだけれど、相手が暴言をぶつけてくるのはいつもの事なので放っておく事にした。
◆
次の日。
俺の目の前にちょこんと正座した彼女が、いつもと同じように切羽詰った表情をし、「大事な話があるの」と呟く。
俺は雑誌をめくりながら、その言葉に「はいはい」と返事を返した。彼女は話し始める。
「実は私は、宇宙人なのです。今、宇宙に物凄い危機が迫っているの。それを救えるのはあんただけなのよ」
毎日毎日、よくもネタが尽きないものだぁ、と俺は少しだけ感心してしまう。
「なので、私とちゅーをするのです」
ニッコリと楽しげに彼女は笑う。
にしても、凄い。俺と口付けしたいがために、ここまで毎日嘘八百を並べられるこの子って本当凄い。凄い馬鹿。
まぁ、キスとか恥ずかしくてまだ無理! とか思ってる俺はもっと馬鹿だけれど。
雑誌から目を離さずに、「うんうん。来世ではちゅーしようね。早く生まれ変わってね」と言ったら「遠回しにあんた、私に死ねって言ってる?」と腹を殴られた。
もう少し彼女が暴力的じゃなくなってくれたら、俺もキスの件を少しは善処しようかと思う。
寝転がりながらゲームをやりつつ、俺はそれに「はいはい」と返事を返す。
彼女は話し始める。
「実は私は未来からやってきたアンドロイドなのです」
「マジで? 超展開だね。伏線も何もなかったじゃないか」
「現実に伏線なんてありません。世の中は理不尽な急展開の連続なのです」
何故か自慢げに人差し指を真上にたてそう言った彼女が、「それはともかく」と楽しそうな声音で呟いた。
彼女の作る嬉しそうな笑みはどこからどう見ても人間のそれであり、とてもロボットが作れるような表情じゃないよなぁ、と横目でこっそり相手の顔を見ながら俺は思う。
「今、未来の世界が超ピンチなの」
「超って死語じゃない?」
「真面目に聞きなさい。その顔の横についているものは飾りですか? るっくおんみー!」
「英語間違えまくってるぞー?」
ゲシリと彼女は寝ている俺の腹に蹴りを入れた。
暴力に訴えないで、せめて口で注意してくれ。その小さな口は何のためにあるんだ?
「とにかく、今未来の世界がピンチなの」
「超はどこ行ったんだ?」
「死語だってあんたが言うからやめました! とにかく、ピンチなの。そして、その未来の世界を救えるのはあんただけなのよ」
「世界の命運握るくらいなら財布の紐を握る男ですよ、俺は」
「その『俺今上手い事言った!』っていう得意げな顔がムカつくし全然上手くないし! もう余計な事は言わないで真面目に聞いてよ!」
言いたい事はいっぱいあったが、第二撃が飛んできそうなのでやめておく事にする。
懸命な判断だ。自分で自分を褒めてから、俺は彼女に合わせ真面目な顔を作ると(心の中ではちょっと笑ってる)問いかけてみる事にした。
「で、俺はどうやって世界を救うの? 魔王倒したりするの?」
「ちゅーです」
「はい?」
「私とちゅーをするのです。そうしたら、世界は救われます」
「……。キス一つで救われるような安っぽい世界なら滅んじまえ」
一言言ってから、俺はゲーム画面に視線を戻す。
しかし、「うぅ……」という彼女の声が耳に入ってきたせいで、それは叶わなかった。
相手のほうを見てみる。泣きそうに顔をゆがめている彼女と目が合った。
「アンドロイドのくせに泣くの?」
「ばかばかばかはげばかはげはげはげ、はげ! もう、あんたなんて知らない!」
ゲシゲシゲシと彼女は三回ほど俺の腹に蹴りを入れて、逃げるように部屋から出て行ってしまった。
その後姿を見ながら、はげはあんまりじゃないか……?、と俺は思ったのだけれど、相手が暴言をぶつけてくるのはいつもの事なので放っておく事にした。
◆
次の日。
俺の目の前にちょこんと正座した彼女が、いつもと同じように切羽詰った表情をし、「大事な話があるの」と呟く。
俺は雑誌をめくりながら、その言葉に「はいはい」と返事を返した。彼女は話し始める。
「実は私は、宇宙人なのです。今、宇宙に物凄い危機が迫っているの。それを救えるのはあんただけなのよ」
毎日毎日、よくもネタが尽きないものだぁ、と俺は少しだけ感心してしまう。
「なので、私とちゅーをするのです」
ニッコリと楽しげに彼女は笑う。
にしても、凄い。俺と口付けしたいがために、ここまで毎日嘘八百を並べられるこの子って本当凄い。凄い馬鹿。
まぁ、キスとか恥ずかしくてまだ無理! とか思ってる俺はもっと馬鹿だけれど。
雑誌から目を離さずに、「うんうん。来世ではちゅーしようね。早く生まれ変わってね」と言ったら「遠回しにあんた、私に死ねって言ってる?」と腹を殴られた。
もう少し彼女が暴力的じゃなくなってくれたら、俺もキスの件を少しは善処しようかと思う。
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